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尿路結石症と治療法の発展
2023.09.06
学会
尿路結石症について
まずは尿路結石症の一般的な内容についておさらいです。尿路結石症の発症は食生活の欧米化を背景に増加しており、約10名にひとりが発症します。また、尿路結石症は生活習慣が関与している疾患であり、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、動脈硬化症の予防のための食事療法や生活指導と共通点が多くあります。再発率が高いのも特徴で、適切な食事・生活指導がなされなかった場合、80~90%が再発します。つまり結石は偶発的なものではなく、患者毎に異なる発生素因を確定し対処することが重要です。2000年も前から今も最も有効な再発予防の方法は「水分をしっかり摂ること」とされており、飲水を積極的にする(指導される)だけで再発率は60%にまで低下します。
腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる病気で、結石のある場所によって
腎結石 ・ 尿管結石 ・ 膀胱結石 ・ 尿道結石
の4 種類に分類されます。最も多いのは尿管結石です。
なぜ石ができるのか?腎臓で血液中の老廃物をろ過して尿を作るときに、尿の成分バランスがくずれていると成分が結晶化します。大半は尿で排出されますが、中には大きくなってしまうことがあります。成分は、カルシウム含有結石(シュウ酸Ca、リン酸Ca)が8割と大半を占めます。残りが尿酸結晶、感染結石、シスチン結石となります。
治療法の発展
尿路結石の確定診断後の治療としては、4㎜以下の小さい結石の場合は尿と一緒に排石を誘導する薬物療法が選択されますが、4㎜よりも大きい場合はESWL(体外衝撃波結破砕術)や内視鏡治療が選択されます。術式としては、近年急激に発展を遂げてきた内視鏡下で行うTUL(経尿道的腎尿管結石破砕術)、PNL (経皮的腎尿管結石除去術)、そして、従来からあるESWLの3法から選択されますが、時代の変化とともにトレンドがあること、結石が発生する場所や大きさによって使い分けているようです。病院施設が全ての術式を施行できるわけではなく、保有している機器・技術で手術を行い、できないことは積極的に他院に紹介すべきと話されていました。講演の内容については6割が手術治療について(3割が基礎研究)で、どの演題も活発な意見交換がされました。
この学会で、たいへん印象的だったのが、全ての企業展示が手術機器および器具の新製品の展示で、これまで参加した学会で最も展示内容の多様性が低い企業展示会場でした。上記の通り、泌尿器科の病院にとって手術は収益の観点からも重要であることが垣間見えました。
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