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食とアンチエイジング
2023.08.30
学会
サルコペニアの病態にビタミンDが及ぼす影響 -ヒトにおける縦断的研 究およびノックアウトマウスを用いた基礎研究-
水野 隆文 先生 (名古屋大学医学部附属病院 整形外科)
ビタミンDは紫外線を利用して皮膚で作られるビタミンですが、その働きはビタミンというよりもむしろホルモンに近いきわめて重要なものであると考えられています。東京慈恵会医科大学の浦島先生らによる論文では、ビタミンDサプリメントの連日服用により癌種に関係なく癌死亡率が12%減少したなど、その重要性が色々と報告されています。しかし日本人の98%がビタミンD不足と言われています。
今回の発表はビタミンDとサルコペニアに関する内容でした。高齢になるにつれ体力が低下するのは避けられないことですが、その低下スピードには個人差があります。その背景には活動量や意欲の低下を含めた心身の衰え「フレイル」があり、身体的には筋力低下の影響が大きいと言われています。その中でも、筋肉や筋力の衰えに焦点を当てた状態を「サルコペニア」と呼んでいます。今回の研究では、ビタミンD不足が筋力に影響を及ぼし、サルコペニアの発症に寄与する可能性があると報告されており、血中ビタミンD濃度は、サルコペニアの予測バイオマーカーの一つとなるかもしれないと述べられています。
ビタミンDを含む食品は非常に限られていて、野菜や穀物にはほとんど含まれていません。多く含むのは鮭やサンマなどの魚介類や、きくらげ、干ししいたけなどきのこ類です。サプリメントで補うことも重要ですが、ビタミンDは脂溶性で体内に蓄積されるため、過剰症にも注意が必要です。自分には何が足りてなくて何が必要か、個別化栄養の考え方は今後重要になってくると思いました。
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