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②内臓脂肪・皮下脂肪と腸内細菌叢 -京丹後コホート研究から:食生活との関連含め- 安田 剛士 先生(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
2022.08.02
学会
内臓脂肪・皮下脂肪と腸内細菌叢 -京丹後コホート研究から:食生活との関連含め-
安田 剛士 先生(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
京都府立医大を中心に行われている日本有数の健康長寿地域の京丹後地方のコホート研究の一部で、内臓脂肪・皮下脂肪と腸内細菌叢の関連を解析した報告でした。65歳以上の高齢者318名について、腸内細菌叢解析を16S-rRNA解析で実施、腹部CTの断面積のCT値から皮下脂肪・内臓脂肪量の測定を行っています。その結果ですが、内臓脂肪が少ない方に占有率が高い菌、逆に内臓脂肪が多い方に占有率が高い菌がいて、それらの菌が既報と矛盾しないことが確認されました。皮下脂肪についても同様でした。それらの中には酪酸酸性菌が含まれていました。血液検査値の比較結果では、インスリン抵抗性、脂質代謝、アディポネクチン、慢性炎症と脂肪の量が有意に相関していること示されており、内臓脂肪・皮下脂肪ともに健康上のリスクが高いことが明らかでした。Modified Frailty Indexで評価されたフレイルは全体の26.7%でした。
【所感】本研究では長寿との関連は示していませんが、京丹後地方に特有の大豆中心の蛋白質摂取が脂肪量に関与している可能性が示されています。腸内細菌については、有意差があるとは言え細菌の占有率(%)の微小な差異については疫学としては大変興味深いのですが、個人レベルでフレイルリスクを予測することはまだ厳しい印象です。しかし、主観に左右されやすい精神心理の基準を含んでいてもなお有意差があるということが驚きでした。かなり腸内細菌研究の定番になっている酪酸産生菌以外で有用な機能を持っている菌がこの地域に集積している可能性についてはどうでしょうか。ところで肥満はフレイルのリスク因子であるとのことですが、低体重についても同様にリスクとなりますがそちらには言及されていませんでしたのでそちらの結果がどうなのか興味があります。個人的にフレイルインデックスの評価基準を改めて見てみると、肉体的にも社会的にもフレイルに移行しないようにするということがなかなか大変だと思いました。
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