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⑩酵素処理イソクエルシトリン摂取が中高年の身体機能へ及ぼす影響 田中 涼 先生(森永製菓株式会社研究所健康科学研究センター)

2022年8月2日

田中 涼 先生 森永製菓株式会社研究所健康科学研究センター

筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態をサルコペニアといい、歩くスピードが遅くなる、頻繁につまずく、ビンの蓋が開けられないなど、以前はできていた動作が難しくなることが代表的な症状です。酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)は酵素処理によりバイオアベイラビリティを向上させたルチン誘導体で、これまでにEMIQ摂取がマウスで筋肥大効果を強めること、アメリカンフットボール選手の筋肉量を増加させること、高齢マウスの骨格筋の酸化ストレスを抑制し、活動量や摂餌量を向上させることを発表者達はこれまでに報告していました。しかしヒトへの影響については未報告であったため、その検証を行ったのが今回の発表になります。

健康な24人の被験者を対象に、被験者を無作為に2つのグループに分け、EMIQ (1日42 mg) を12週間摂取群とプラセボ摂取群による二重盲検並行群間比較試験を行いました。試験食摂取前後で 身体機能、活動量、血中パラメーター(空腹時血糖・酸化ストレス値(d-ROMs)・酸化力値(BAP))、体組成の測定及びFFQg栄養調査を実施しました。結果、EMIQ群では、プラセボ群と比べて、身体機能(10メートル歩行テスト)において速度、ケイデンス、スピードが有意に向上し、活動量も高い傾向にありました。また、EMIQ群でカロリー摂取量が有意に高かった一方で、体組成は変化がないことも明らかになりました。

【所感】

フレイル・サルコペニアの予防は、人生100年時代を健康で要介護にならず楽しむためにはとても重要なことです。これらは日常の些細な変化に目を向けることで、事前に予防することが可能です。自分の体としっかり向き合うこと、興味を持つことがまずは重要ではないかと思いました。