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⑥金ナノ粒子を用いた各種検討

2022年9月21日

DNA 固定化金ナノ粒子のDNA 構造による核酸検出感度への影響

○平尾 元1・福住 奈那実2・朝日 剛1・前田 瑞夫3・小川 敦司4・座古 保1

(愛媛大院理工1・愛媛大理2・理研3・愛媛大PROS 4)

DNA 固定化金ナノ粒子の表面修飾による分散安定性と標的分子検出感度への影響

○福住 奈那実1・平尾 元2・朝日 剛2・前田 瑞夫3・小川 敦司4・座古 保2

(愛媛大学理学部1・愛媛大学大学院理工学研究科2・理化学研究所3・愛媛大学プロテオサイエンスセンター4)

金ナノ粒子を修飾した核酸のハイブリダイゼーション効率の検討

○廣井 楓夏1・中島 芽梨1・中屋 佑紀2・佐藤 久2

(北大工学院1・北大工学研究院2)

金ナノ粒子プローブを用いた環境水中の病原体の検出

○中島 芽梨1・中屋 佑紀2・佐藤 久2

(北大工学院1・北大工学研究院2)

オリゴDNAを固定化した金ナノ粒子(AuNP)に、相補的なターゲット核酸が結合すると凝集剤の存在下で凝集体を形成し、溶液色が変化することは約20年前から知られていました。理研の前田端夫先生のグループで一塩基多型(SNPs)のタイピングを開発されていましたが、その後実用化には至っていませんでした。今回、前田先生が共同演者に加わっている愛媛大学と、北大の研究グループがそれぞれ独立して発表しており懐かしくなり聞いてみました。

愛媛大学のグループは、DNAプローブを固定化し小分子RNAの1種類であるmicroRNAの検出を試みていました。興味深いことにAuNPに結合させるDNAの密度の状態に応じて検出感度が向上する、または低下するという現象がみられたとのことでした。これはDNAの配列によってプローブの構造形態が変化し検出感度に影響したと考えられるようです。(所感)microRNAの検出に本原理を適応する場合、ターゲットの配列に依存するので、ターゲットmicroRNAごとに最適化が必要になるとのことでなかなか大変かもしれませんが、ノウハウで差別化する要素にもなり得る可能性があると思いました。1塩基多型については末端の1塩基のミスマッチについては凝集に差が生じるため識別できるが、内部の配列については許容してしまうということで、配列が近似のmicroRNAを判定する場合には注意が必要かもしれません。

一方北大のグループは、特定の細菌の16S-rRNA領域の相補配列をプローブとし、PCR産物吸光度スペクトルを分析し特定の2波長の比を算出し、比が最大化する条件を検索しました。また、SARS-CoV-2のゲノムRNAの相補配列をプローブとし、鼻咽頭ぬぐい液または合成ウイルスゲノムRNAを反応させて吸光度および,光導波路分光装置で評価を行いました。

(所感)いずれの結果はまだパイロット試験であり、今後詳細に検証していく必要がありと思います。簡便で短時間での測定ができるため、感度や特異性などを示すことができれば実用化の可能性はあるのではないかと感じました。