山田(古川)匡恵 先生 国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部
本研究では、歯の喪失が認知機能に及ぼす影響とともに、認知症の周辺症状、特に攻撃性に及ぼす影響について検討していました。検討には自然老化マウスおよびアルツハイマーモデルマウスを使用し、18月齢で上顎両側臼歯を抜歯しました。結果、抜歯したマウスではアストロサイトマーカーGfapの発現が有意に増加した他、セロトニンの減少、認知機能、神経機能や炎症に関連する遺伝子の発現に変化が見られました。また攻撃的咬合行動(ABI)の強度および回数が有意に増加していました。
【所感】
近年、咀嚼が全身に様々な影響を与えていることが示唆され、加齢などによるオーラルフレイルは全身の機能低下(サルコペニアや低栄養など)へと進み、さらにはうつ病などの自律神経に関わる疾患を引き起こすとも言われています。健康に長生きするためには、些細な変化にも注意することが重要だと感じました。