Contact
尿酸値は遺伝的要因の影響が大きく若くても高値になることが示されていますが、肥満や食事、飲酒などの生活習慣の影響も受けて変動します。そして、尿酸値は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満などの生活習慣病や慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドロームの先行指標として有効と考えられます。私達は、尿酸値を先行指標として生活習慣の改善など行動変容を促すことで健康寿命延伸に貢献したいと考えています。まずは、尿酸と痛風についてまとめました。
尿酸とはプリン体という物質が体内で分解されてできる老廃物です。プリン体は運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質で,常に体内で作られています。また古い細胞が壊され、新しい細胞が作られる「代謝」を行う過程でも生産されます。それ以外にも食事によって外からも取り込んでいます。その割合は体内で生産されるプリン体が8割、食事から摂取するプリン体が2割となっています。それでは「尿酸というものは血液中
プリン体は体内での生成と食事による体外からの摂取があります①新陳代謝による生成人間をはじめとした生物は全て細胞で作られており、細胞を構成する要素である核酸(DNA)はプリン体を含んでいます。よって古くなった細胞を新陳代謝で分解する際に核酸が分解されてプリン体になります。プリン体はさらにいくつかの工程を経て分解され、最後に尿酸になります。②運動による生成体を動かすと体の中ではエネルギー源としてATP
尿酸はほとんどの動物では分解され、体内にたまりません。ところが人間と一部の霊長類(ヒト,チンパンジー,ゴリラ,テナガザルなどのヒト上科の霊長類,鳥類,一部の爬虫類)は尿酸を分解する酵素(尿酸酸化酵素)が遺伝的に欠損しており、尿酸がたまる傾向があります。この突然変異は進化の過程から見て「有利」な突然変異であったと考えられています。その理由のうち最も一般的な考え方は尿酸の抗酸化作用による説明です。かつ
私たちの体は、酸素をエネルギー獲得に利用する半面で、常に活性酸素種 による酸化ストレスの脅威に晒されています。この活性酸素種を放置すると、細胞が傷害され、神経疾患、動脈硬化、炎症、発癌、老化など様々な悪影響が引き起こされます。尿酸は強力な抗酸化作用を持っており、体内で増え過ぎた活性酸素を消去する重要な役割を果たしています。とはいえ高濃度で存在してしまうと血液中や体液中で溶けきれず、結晶となってしま
血液中の尿酸値が7.0㎎/dlを超える状態を高尿酸血症と呼んでいます。尿酸値が高いまま放置するとどうなるでしょう?尿酸値が高いだけでは症状はありませんが、血中の尿酸値が高い状態が続くと血液に溶けきらなくなった尿酸が結晶となって、体内にたまっていきます。それが手足の関節で起こり強い痛みを伴うのが痛風(痛風関節炎)です。さらに、尿酸が腎臓にたまると痛風腎(尿路結石)を引き起こします。高尿酸血症の割合は
高尿酸血症の病型は大きく3つに分けられます。1つ目は腎臓における尿酸排泄効率が低下した「尿酸排泄低下型」、2つ目は腎臓に対する尿酸負荷が増大し、血清尿酸値の上昇をきたす「腎負荷型」、そして3つ目はこれらの「混合型」です。さらに腎負荷型には、尿酸産生が過剰になった「尿酸産生過剰型」と腸管からの尿酸排泄が低下した「腎外排泄低下型」の2つがあります。高尿酸血症の人のうち6割~7割の人では腎臓からの尿
尿酸が高い状態が続くと、体内で尿酸塩の結晶がつくられ、血液中に増え過ぎた結晶が手や足の関節、また腎臓などの組織にたまっていきます。その尿酸塩の結晶が激しい運動、ストレス、尿酸値の急激な変動などが誘因となって関節液の中にはがれ落ちると、足の親指のつけ根などに激痛が走る痛風発作が発生します。痛風発作で強い痛みを感じるのは、関節液の中にはがれ落ちた尿酸塩の結晶を、免疫細胞が異物と認識して攻撃し、白血球
血液中の尿酸が、直接健康被害をもたらすことが分かっているのは痛風、尿路結石や腎結石、腎機能障害などですが、それ以外にもさまざまな生活習慣病(高血圧、心疾患、メタボリックシンドロームなど)のリスクを高めるといわれています。実際、高尿酸血症の患者さんの中には、糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満などの生活習慣病や慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドロームを合併している方が多くいます。そのため最近では、