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③進化と尿酸産生

③進化と尿酸産生

2023年3月19日

尿酸はほとんどの動物では分解され、体内にたまりません。ところが人間と一部の霊長類(ヒト,チンパンジー,ゴリラ,テナガザルなどのヒト上科の霊長類,鳥類,一部の爬虫類)は尿酸を分解する酵素(尿酸酸化酵素)が遺伝的に欠損しており、尿酸がたまる傾向があります。

この突然変異は進化の過程から見て「有利」な突然変異であったと考えられています。

その理由のうち最も一般的な考え方は尿酸の抗酸化作用による説明です。

かつて夜行性の哺乳類から進化した霊長類は、昼間、樹上生活することにより強い紫外線に曝されることになりました。しかし、進化の過程で抗酸化作用を有するアスコルビン酸(ビタミンC)合成酵素を失っていたため、抗酸化作用を有する尿酸は霊長類には有用なものであったと考えられています。

人の血中尿酸値は他の哺乳類に比べて正常でも高い値ですが、一説によるとこれが人間は他の哺乳動物に比べて寿命が長いことにも関係があるようです。少しずつ寿命を延ばしてきた霊長類にとって、尿酸の抗酸化作用は有用なものであったと考えられます。

尿酸値と最大寿命YK