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⑥腸内酸化ストレス除去による脳腸軸を介した抗うつ効果の検証 池田 豊 先生(筑波大数理物質)

2022年8月2日

池田 豊 先生(筑波大数理物質)

この発表は、脳腸相関が近年注目されていることから、腸内の酸化ストレスが腸内環境に与える障害に着目した研究でした。本研究グループは全身に拡散しない抗酸化物質である、ポリスチレン-無水マレイン酸共重合体(PSMA)を基本骨格とし、酸化ストレスの原因である活性酸素種を除去する抗酸化ナノ粒子(si-SMAPoTN)を開発していました。これは血管内には入らずに腸内に留まることができるようです。これを慢性拘束うつ病モデルマウスに経口投与し、3週間のストレス負荷後に大腸粘膜層の解析を行った結果、ストレス群では粘膜層の減少が見られましたが、si-SMAPoTN投与群では粘膜層の減少が抑制されていました。

更に、ストレス群で上昇する血中コルチコステロン(COR)量が、si-SMAPoTN投与群では上昇が観測されませんでした。またうつ病モデルにおいては海馬の脳由来神経栄養因子の発現量の減少が見られましたが、si-SMAPoTN投与群ではコントロール群と差はありませんでした。行動試験においてもうつ症状の改善が見られたということです。

【所感】

ポリマー粒子であることから、細胞内やミトコンドリアへは透過しないので、必要な活性酸素を消去することが無く、低分子抗酸化剤に比べて、副作用を軽減でき、まだまだ広い用途での使用が考えられます。酸化ストレスは様々な疾患との関連や老化亢進につながると考えられているため、この研究が実用化されることで疾患や老化抑制につながる新しい治療や診断システムが創出されることが期待できます。