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人間ドックデータにおける5年以上の経過からみたeGFRの低下に影響を与える因子の検討 植松真幸 先生(静岡県立大学看護学部)

2023年11月6日

CKDの診断基準であるeGFRの低下に関わる因子の研究はいくつか報告がありますが、対象人数が少ないことやCKDと生活習慣の関連性について明確な見解が得られていないようです。そこで本研究は、人間ドック受診者を対象に、5年以上の経過からみたeGFRの変化に影響を与える因子について明らかにすることを目的としていました。

対象者は5年以上人間ドックを受診した2781名で、初回及び最終回の受診時の問診、血液検査、尿検査の結果を分析していました。また対象者を①eGFR正常→5年後も正常②eGFR正常→5年後に異常③eGFR異常→5年後に正常④eGFR異常→5年後も異常、の4群に分けて解析を行なっていました。

今回の解析では、①の群でも自然な経年的変化でHDLコレステロールを除く主要な検査項目の値は悪化していました(しかし値は正常範囲内)。それにより予測精度が低くeGFRの低下に影響を与える因子を明らかにすることはできなかったようですが、正常範囲内であった因子の中でも収縮期血圧、拡張期血圧、HbA1cは初回の時点で平均値に差があり、eGFR低下因子として関連性を示唆されていました。

また②の正常から異常になった群は有病率が高く、メタボリックシンドローム判定の該当者の割合が高かったようです。

これらの結果から、eGFRが正常であっても、既往歴、メタボリックシンドロームに該当する人に対しては早期の生活習慣の改善が重要であると言えます。