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④インクジェットプリンティングによる試薬固定化法を利用する1ステップバイオアッセイマイクロデバイスの開発 河相 優子 先生(大阪府立大学大学院)

2022年9月21日

◯河相 優子1、白井 亮洋1、角田 正也2、井手上 公太郎2、末吉 健志1、遠藤 達郎1、久本 秀明1 

(1. 大阪府立大学大学院(大阪公立大学大学院)、2. シスメックス株式会社)

現在、バイオアッセイではマイクロプレートが使用されることが多いが、イムノアッセイや酵素分析などは煩雑な測定操作、試薬・試料量の多さが課題となっていることに着目し、ガラスキャピラリーやPDMS製マイクロ流路の内面に試薬をコーティングした1ステップバイオアッセイマイクロデバイスの開発についての報告でした。当研究室では以前からこの検討を行っていたようですが、抗原と抗体、または酵素と基質など互いに反応する試薬の同一流路内固定は困難であったようですが、インクジェットプリンティングで同一のPDMS製マイクロ流路へ2種類の反応試薬を独立固定した、1ステップ均一系のバイオアッセイマイクロデバイスの作製に成功したとのことでした。

本発表では、抗原抗体の組み合わせとして抗CRP抗体固定化酸化グラフェン(AbG)と蛍光標識CRP(F-Ag)による1ステップCRP検出と、ビオチン固定化酸化グラフェン(BG)と蛍光標識ストレプトアビジン(F-SA)の組み合わせに基づく1ステップビオチン検出について報告されました。ビオチンの検出限界は0.68 ng/mL、CRPの検出限界は2.5μg/mLで応答濃度範囲2.5~10μg/mLの範囲で直線的な応答が得られたとのことでした。CRPのカットオフ値は3μg/mLであることから、診断用途での濃度範囲をカバーできています。しかし測定時間が1時間程度と長いため、流路サイズの検討を行い時間短縮の検討をされていました。

最終的には、変色画像をスマートホンカメラで医師に送り、その場で確定診断できる在宅キットを目指して開発を進められており、このようなキットのニーズが増えている現在、今後の進捗が楽しみです。